診療科目 歯科 矯正歯科 小児歯科 口腔外科 TEL 03 (3223) 4182(良い歯に) 
 さいとう歯科 高円寺診療所 JR中央線 高円寺駅 北口から徒歩6分 北中通り商店街の西端、高円寺北三郵便局の隣 
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山形 5/29--6/ 1  ( 4日間) ( 鉾立山荘〜鳥海山 )

 大学の理工学部の友人と二人で山形県の鳥海山に登りました。  5月で平野は春でしたが、山の上は冬で、初日は猛吹雪で道を見失い、窪地にテントを張って野営しました。  翌朝は快晴で、テントの周囲一面はアイスバーンでした。
 青文字の文章は、大学のサークル機関紙より、氏名を頭文字をイニシャルにする等、一部改変して引用。

- 日本海側の平野から見上げた鳥海山 -

 鳥海山(ちょうかいさん)は、山形県と秋田県に跨がる標高2,236mの活火山。  出羽富士(でわふじ)とも、秋田県では秋田富士(あきたふじ)とも呼ばれる。
 東北地方では燧ヶ岳(標高2,356m)に次いで2番目に標高が高く、実質的な東北地方の最高峰。  山形県の最高峰であり、中腹には秋田県の最高地点(標高1,775m)がある。
 全体としては玄武岩ないし安山岩の溶岩からなる富士山型の成層火山であるが、北側から西側にかけては側火山や火口、さらには河川による侵食で、複雑な山容を示している。
 新旧2つの二重式火山が複合したもので、侵食の進んだ「西鳥海」と新しい溶岩地形をもつ「東鳥海」とからなり、それぞれに中央火口丘と外輪山がある。


5月29日(金)
 上野から新潟経由青森行きの夜行の急行列車で目的地へ向かう。

5月末のある日、我々2人は急行に乗車した。  春と夏の狭間のオフシーズンのこの時期、車内は幾分空いていた。  友人一人が見送りに来ただけのささやかな出発であった。

 家 19:54…駅-(各停)-20:50 上野駅 21:13-(JNR/急行 鳥海 801) (車中泊)-

5月30日(土) 雨のち雪、吹雪
 バスを降りた時には雪と霧で見通しは全くない。
 山荘の主人の、「他にもう1Partyがいて、彼らは経験者だから、先行する彼らの足跡を辿って行くように。」とのアドバイスを受ける。
 言われた通りに足跡を辿っていくが、霧で視界の効かない中、やがて降雪により足跡を見失う。  それでも方位磁石を頼りに歩くが、吹雪の中、ほとんど平坦な雪原で現在位置も不明なため、早々に窪地で野営することにする。  夕食をさっさと食べてさっさと寝る。


 翌日、山形県の象潟駅にて下車した。  ここは昔、松尾芭蕉の奥の細道で歌われた日本海の松島のごとき景勝地であったが、その後土地は隆起し、今では田園の中に小島だったふくらみが松林として点在している。  どこも田植えの真っ最中で、木には色とりどりの花が咲き乱れ、小鳥がさえずっている。  遅い東北の春は今が盛りである。
 我々は全身冬山装備で、アタックザックにはピッケルとアイゼンをくくりつけて、周囲から浮いていた。  天気はぐずついていた。
 駅前から国鉄バスに乗り、一時間余りで終点の鉾立に着く。  ここは鳥海山五合目、まだ白一色の世界である。  バス停脇の山荘に入って登山の準備をする。
 山荘の管理人は、我々がここは初めてであることを伝えると、一度無雪期に来てから冬に来るように忠告した。  たまたま同じバスで来た経験者がいたので、先行してもらい、後をつけていくことにした。
 11時5分発。 しばらくは樹林帯の中の一本道である。周囲は一面雪で視界はきかない。
 すぐに展望台を通過する。  天気が良ければ目の前には大きな谷に注ぎ込む滝と、遠くに山頂が望めるはずだが何も見えない。
 ずっと下を向いて先行者の足跡を辿る。
 途中で一回休み、また歩き続ける。  いつの間にか森林限界を超えたらしく、草木は目立って減ってくる。  風も少しずつ出てくる。  次第に雪が固くなってきたのでアイゼンをつけ、ピッケルを手に持つ。
 それから一時間ほど歩いて一本(休憩)。  上は霧、下は雪と氷の、全てが白の世界で、吐く息も白い。  風はだんだんと強くなる。 雪も降ってきたようだ。 5分と休まず、13時10分発。  二人はひたすら先行者のアイゼンの爪痕を辿って歩く。 降雪も強くなり跡は途切れがちになる。
 まもなく吹雪に変わった。  空から降るのか地面の雪が巻き上がるのかわからない。 寒冷地特有のサラサラした乾いた雪である。  ゴーグルの中にも入り込んでくる。
 足跡は消え、地形図と磁石を参考に歩いた。  立ち止まり地図を見ても、周囲の地形は見えない。 方位を磁石で確かめて歩く。 この日は途中の御浜神社の宿所に泊まる予定であった。  すぐ近くにあるはずである。
 地図をしまって顔を上げた。
 風は唸っていた。厚いガスの壁の向こうで“ゴーッ”という音がする。 耳元では“ビューッ”と鳴る。 目は何も捉えない。 耳だけが感じている。
「こりゃ、だめだな。」
 連れのMが言った。  吹雪の中で道を見失ったにもかかわらず、気は楽である。  一応二人用エスパースとザイルを用意していた。
 何の目印もない雪原の中で、なんとなく暗い影のある方向に進むとコブがあった。  岩陰の窪地を探し出して雪を掘った。  エスパースを組み立て、角のロープをピッケルに括りつけておき、雪面に突きさし固定した。
 中に入り、エピガスを組み立てて雪を溶かし、コーヒーを沸かした。 時刻は15時。
 ほっと一息つく。
 ボンカレーを温め、米を炊いて夕食をとる。 そして緑茶を飲む。  テントの中では常に食べるか飲むかしている。 雑談しているうちに外は暗くなる。  上も下も同様に白から灰色、だんだんと濃くなって黒になる。 それが吹雪の日の夕暮である。
 寒いからシュラフに足先を入れる。  少しずつ足全体、腰、と中に移動しながら雑談する。  そのうちに会話も途絶えて、どちらからともなく寝る準備をして全身をすっぽり入る。  中に入っても吹雪の音は聞こえる。いつも間にか眠りについた。


 -(JNR/急行 鳥海 801)-06:52 象潟駅 08:45-(国鉄バス)-09:50 鉾立山荘 11:05…(徒歩 13分)…11:18 展望台 11:24…(徒歩 34分)…11:58(アイゼン装着)12:10…(徒歩 55分)…13:05(休憩)13:10…(徒歩 40分)…13:50 長坂道△、就寝 18:30
本日の歩行時間計 2時間12分

5月31日(日) 晴のち曇、のち小雪
 夜明け前に起きると無音だった。 降雪も風もまったくなかった。  テントの外を見ると満点の星空であった。 山の稜線もはっきりと見えた。  朝食をとり身支度をしているうちに日の出となった。 昨日と打って変わって雲ひとつない快晴である。  ゆっくりと撤収し、頂上に向けて出発する。  難なく頂上に達する。外輪山、内輪山をいずれも思う存分に歩けた。 時間に余裕があるので、疲れてもいないのに、途中で休憩を何度もとる。  順調に下山し、バスで下の海岸沿いの駅まで降りる。

 どのくらいたっただろうか。
 しん、としていた。 何も聞こえない。 全身が休んでいる中で、耳だけは完全な静寂をはっきりと感知した。
「何も聞こえないよ。」 私は言った。 しかし返事はなかった。
「ねえ、音が全然しないんだよ。」 私は言った。 Mの返事はない。
 ふと私は、自分の声が音になっていないのではないかと思った。 両手を叩いてみた。 パチンと…鳴らなかった。
「ほら、鳴らないんだよ。」 私は足で地面を叩いた。
びくっ、と足が痙攣して目が覚めた。
 Mが起き上がって外を覗いていた。 腕時計は午前2時50分を示していた。
「おい、晴れているぞ。」 彼は言った。
 私も外を見た。満点の星空だった。
 私は起き上がった。
 西の空には月が輝き、日本海を照らしていた。  東には、目指していた山頂があった。 山が見えたのではない。 山塊が星の光を遮断してシルエットが浮かび上がっていた。
 外に出て空を再び見た。 無数の星のきらめきは、むしろ気味が悪い。 どれもが明るく、星座なんてわからない。
 雪面は光を吸収し、鈍くぼうっとくすぶっている。光と影の織りなすモノトーンの世界である。
 恐ろしいほど清く済み渡った視界に生物は皆無、二人の他は虫一匹、草一本もなかった。  天体と空気と氷と岩だけが存在していた。 わずかにはるか西方の海岸線付近に民家の灯りが点滅していた。
 朝食を作り、食べてから出発の準備をした。
 4時50分、外に出る。アイゼンを付けていると、東の空はだんだんと明るくなる。月は輝きを失っている。星は徐々に姿を消している。
 しばらくして朝日が出た。雪原はたちまち輝きだす。
 テントを畳んで収納し、ピッケルを持って6時5分、出発。  アイゼンの爪が小気味よく氷に突き刺さる。
 (略)6時30分、御浜神社着。 建物の脇にリュックサックを置いて、サブザックに替える。  昨日の先行者は既に頂上を目指して出発していた。鞍部を下り外輪山に取りつく。
 この辺は修行の山として行者が行きかい、文殊岳、伏拝岳といった名が稜線上につけられている。  途中で下山してくる先行者と摺れ違う。
 2回ほど休んで9時42分、頂上に着く。  鳥海山は外輪山に第二峰がある。  カルデラの中に最高峰の新山と、大物忌神社がある。  新山を往復し、10時40分、七高山に寄る。
 12時30分に御浜神社宿所につき、1時間近く大休憩をする。  雪原の白、平野の緑、日本海の紺色が強いコントラストになっているのを眺めながら休む。
 さらに下って展望台に着く頃には再び天気は悪化し、頂上は見えなくなる。  山荘に戻り遅い昼食を摂る。
 霧の中をバスに乗って平野へと下った。


 起床 03:00、長坂道△ 06:05…(徒歩 25分)…06:30 御浜小屋 06:45…(徒歩 35分)…07:20(休憩)07:21…(徒歩 39分)…08:00(休憩)08:12…(徒歩 90分)…09:42 鳥海山/山頂 10:20…(徒歩 16分)…10:36 七高山 10:38…(徒歩 50分)…12:28 御浜小屋 13:15…(徒歩 40分)…13:55 雪渓下 14:30…(徒歩 18分)…14:48 展望台 15:03…(徒歩 7分)…15:10 鉾立山荘 16:00-(国鉄バス)-16:50 象潟駅 17:09-(JNR/急行 きたぐに 502)-17:45 酒田駅 (…食堂、夕食) 20:05-(JNR/急行 出羽 402) (車中泊)-
本日の歩行時間計 5時間20分

6月 1日(月)
 -(JNR/急行 出羽 402)-05:02 上野駅 05:10-(各停)-07:00 駅…家


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